「階段がつらい」「正座できない」
それ、変形性膝関節症かもしれません
◆ 年齢とともに増える“膝の痛み”
60代を過ぎると、「膝が痛い」という悩みを抱える方が一気に増えてきます。
特に女性の方は、「立ち上がるときに膝がこわばる」「階段の昇り降りがつらい」「正座ができなくなった」といった悩みを抱えていらっしゃることが多いです。
その背景にある原因の一つが——
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。
◆ 変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ることで、骨同士がぶつかり合い、痛みや腫れ、関節の変形を引き起こす病気です。
初期は軽い違和感程度でも、進行すると日常生活に支障が出るほどの痛みになってしまうことがあります。
◆ こんな症状、ありませんか?
-
朝起きて動き始めるときに膝が痛む
-
正座やしゃがむ動作ができない・つらい
-
階段の昇り降りで膝が「ギシギシ」「ゴリゴリ」音を立てる
-
膝が曲がりにくくなり、歩幅が狭くなってきた
-
膝が腫れている・熱を持っている
-
夕方になると膝の周りがだるく、重く感じる
これらの症状が当てはまる方は、変形性膝関節症の可能性が高いです。
◆ なぜ起こるのか?
60代以降に多くなる理由は、以下のような要因が複合的に関係しています。
✔ 加齢による軟骨の摩耗
膝の関節には「関節軟骨」というクッションのような組織があります。これが年齢とともにすり減ることで、骨と骨が直接ぶつかり合い、痛みが出ます。
✔ 筋力低下・運動不足
膝関節を支える筋肉(特に太もも前の大腿四頭筋)が弱くなると、膝への負担が増えます。
✔ O脚・X脚などの変形
骨の形や歩き方のクセなどにより、膝関節に偏った力がかかると、変形が加速します。
✔ 体重の増加
体重が増えると、歩くたびに膝に何倍もの負担がかかります。たとえば体重1kgの増加で膝への負担は3〜4kgと言われています。
◆ 変形性膝関節症の進行段階
変形性膝関節症は、大きく以下のような段階に分かれます。
-
初期:動き始めに違和感や軽い痛みが出る。腫れや熱感が少しある
-
中期:歩いたり階段を使ったりすると痛みが増す。可動域が狭くなる
-
後期:関節が明らかに変形し、歩行困難や安静時にも痛みが出ることがある
◆ 手術しかない?あきらめる前に
変形が進行してしまった場合、「人工関節しかない」と診断される方もいらっしゃいます。
しかし、全ての人が手術を必要としているわけではありません。
中には、正しい運動療法・日常生活の工夫・関節の使い方の改善で痛みが軽減し、手術を回避できた例もたくさんあります。
◆ 当院でのアプローチ
当院では、60代以上の方でもできる、無理のない・続けやすい方法での改善サポートを行っています。
✔ 姿勢・歩き方のチェックと調整
間違った体の使い方で、膝に過剰な負担がかかっているケースが多いため、まずは全身のバランスを整えることからスタートします。
✔ 筋肉と関節の柔軟性アップ
硬くなった太ももやふくらはぎの筋肉を緩め、動きやすい状態にしてからエクササイズに進みます。
✔ 正しい動きを“再学習”
しゃがみ方、立ち上がり方、歩行のフォームを修正することで、痛みの出にくい日常動作に変えていきます。
✔ 痛みの根本を一緒に探る丁寧なカウンセリング
「膝が痛い=膝だけが原因」とは限りません。腰や足首、股関節の影響も含めて全体を見ていきます。
◆ ご家族のサポートも重要
ご本人が「歩くのがつらい」と感じていても、周囲が「運動不足だから」「年のせい」と決めつけてしまうと、ますます外出の機会が減り、悪循環に陥ります。
ご家族の理解や声かけも、回復にはとても大切な要素です。
「膝が痛いから外に出られない」から、「痛みがあっても、動ける体を一緒に作ろう」へ——。
◆ まとめ:膝の痛みは“改善できる”もの
変形性膝関節症は、確かに加齢とともに発症しやすいものです。
しかし、「年だから」とあきらめる必要はまったくありません。
-
痛みを軽くする方法はたくさんあります
-
今の体の状態を知ることが第一歩です
-
自分に合った方法を続ければ、膝はちゃんと応えてくれます
60代からでも、70代からでも遅くありません。
「また楽に歩けるようになりたい」
そんな思いを、私たちは全力でサポートいたします。