朝、首が回らない!? それ、ただの寝違えじゃないかもしれません。
◆ 朝起きたら突然の首の激痛…「寝違え」の正体とは?
「朝、いつも通り目が覚めたら、首が全く動かない!」
「洗顔しようと下を向いたら激痛…」
「後ろを振り返れないから運転が怖い」
多くの方が一度は経験する“寝違え”。
特に忙しいビジネスパーソンやストレスの多い生活を送っている方に多く見られます。
この寝違え、実はただ“変な姿勢で寝てしまった”だけが原因ではありません。
体の深部にある“隠れた要因”が大きく関係しているケースも多いのです。
◆ 「寝違え」とは何か?簡単に言うと…
医学的には「急性疼痛性頚部拘縮(きゅうせいとうつうせいけいぶこうしゅく)」という名称で、
首まわりの筋肉・筋膜・関節包などに炎症や過緊張が起きて、動かすと痛い状態を指します。
ただし、単なる「寝相の悪さ」だけでは説明できないケースが多いのも事実。
実際、同じ枕・寝具で何年も寝ていて、突然寝違えたという方もいます。
◆ 実は“寝違え”の大元は首ではない?
寝違えの本当の原因は、実は首だけにあるわけではありません。
最近、当院で多いのは以下のような背景です:
【原因①】胸椎の硬さ 〜「背骨の動き」がカギ〜
胸椎とは、肩甲骨の間にある背骨の部分です。
この部分が硬くなってしまうと、首の動きが過剰になり、負担が集中します。
本来、首と背中は連動して動いています。
例えば後ろを振り返る時、首だけでなく胸椎も一緒にねじれることでスムーズな動きが可能になります。
しかし胸椎が硬くなると、首だけで無理やり振り向くことになり、筋肉や関節にストレスが集中。
その結果、ある朝突然「寝違え」として症状が現れるのです。
特にデスクワークやスマホの多用で猫背や巻き肩が習慣化している人は要注意です。
【原因②】暴飲暴食・内臓疲労 〜消化器の不調が首にくる?〜
「え?食べすぎと寝違えって関係あるの?」
と思われる方も多いでしょう。でも実は深いつながりがあります。
特に暴飲暴食・夜遅い食事・アルコールの摂りすぎは、内臓(特に肝臓・胃腸)を疲れさせます。
このような内臓疲労があると、自律神経のバランスが乱れ、筋肉がこわばりやすくなります。
また、内臓と首・肩は「反射的なつながり」があるため、内臓の不調が首まわりの緊張として表れ、寝違えを引き起こすケースもあります。
「寝違えた日の前夜に、焼き肉をたくさん食べた」
「深夜までお酒を飲んでいた」
という方は、内臓疲労が原因かもしれません。
【原因③】ストレスや睡眠の質の低下
ストレスがたまっている時や、浅い眠りが続いていると、無意識のうちに体が緊張したまま寝てしまうことがあります。
その結果、就寝中に同じ姿勢が長時間続いてしまい、特定の筋肉に過負荷がかかって寝違えが起きやすくなります。
◆ 「揉んだり温めればいい」は危険なことも
寝違えたとき、よくありがちな対処としては:
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お風呂で温める
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シップを貼る
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首をグリグリ押す
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無理にストレッチをする
ですが、これらがかえって悪化させることもあります。
急性期(痛み始めの48〜72時間)は炎症反応が強い時期。
この時期に無理に動かしたり、温めすぎると、かえって痛みが増してしまうケースもあります。
◆ 当院でのアプローチ
当院では、寝違えの方に対して以下のような流れで施術を行っています。
✔ 原因の見極め
首を押したり動かすだけでなく、「胸椎の可動性」「肩甲骨の動き」「肋骨の硬さ」など、
全体のバランスを確認し、首に負担がかかっていた原因を特定します。
✔ 優しいアプローチで炎症を抑える
過度な刺激やマッサージは一切行いません。
炎症を落ち着かせるための呼吸・循環の調整や、関節の微細な動きの調整を行います。
✔ 内臓からの影響をケア
暴飲暴食・内臓疲労が関連していると判断した場合は、
お腹への施術や、食事・生活習慣のアドバイスも行います。
◆ 寝違えを繰り返さないための3つのポイント
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猫背や巻き肩を改善する
→ 胸椎まわりを柔らかく保つ体操がおすすめ -
夜遅い食事を控える
→ 就寝3時間前には食事を終えるのが理想 -
ストレスをリセットする時間をつくる
→ 深呼吸や軽いストレッチだけでも効果大
◆ 最後に
寝違えは、一見「一時的な筋肉のトラブル」に見えますが、
実は体からの大切なサインです。
それは「最近、体の使い方や生活リズム、ちょっと乱れてませんか?」というメッセージかもしれません。
痛みを和らげるだけでなく、
“なぜ寝違えたのか”を知ることが、再発防止のカギになります。
繰り返す寝違えにお悩みの方は、ぜひ一度、身体全体のバランスを見直してみてくださいね。